アルコール添加とは?
公開日:
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最終更新日:2017/10/31
What’s Japanese SAKE?
どうもいつもお世話になっております。唎酒師のスタッフリョウです。今回は醸造アルコールを添加したお酒に関しての記事です。コンセプトとしてはアルコール添加に対する否定的な考え方に対して現在はそうではないと知っていただきたく記事にしてみました。
それではどうぞ。
醸造アルコールって何?
醸造アルコールはサトウキビから砂糖を精製した後の液体で廃糖蜜と呼ばれるものを原料にしています。黒っぽい茶色でドロッとしていてこれをそのまま日本酒に添加するのではなく、これを蒸留して「粗留アルコール」という状態にします。粗留アルコールは主にブラジルから輸入され、それを国内アルコールメーカーが再蒸留し純度95〜96%のアルコールに仕上げます。酒蔵はそれを買い取って使っていて、消防法の規定によりすぐに30%まで加水処理して蔵で保管しています。ここ最近は米を原料とした醸造アルコールが使われることが多いです。
醸造アルコール添加の目的
1:防腐:腐敗防止の目的で江戸時代にはすでにアルコール添加の技法が確立していました。それは柱焼酎といい、添加することで味わいもスッキリさせる効果もありました。この焼酎は日本酒を搾った後の酒粕から造られた粕取り焼酎というものです。現在では品質管理のレベルが向上しているためにこの目的の意味は薄れています。
2:香りを引き立てる:日本酒には大吟醸酒・吟醸酒というのがあり、香りが大切とされています。香りの成分は水よりもアルコールに溶けやすい性質があり、この香りを生かすための行為で、決して増量目的ではないということです。
3:軽快な味わいを生み出す:醸造アルコールを加えることで味わいをスッキリさせる効果があります。日本酒には糖分や酸や雑味等があり、それらが強すぎると飲みにくいということがあるのです。お料理で例えると味が濃すぎるということに当たり、それだと美味しくいただけないし、残してしまう要因になってしまいます。それを和らげるために醸造アルコールを加え薄め、抑えることでスッキリ軽快な味わいを生み出す効果があるのです。
2と3からただ単に増量目的でアルコール添加するのではないことを理解していただけたと思います。ところで日本酒を造るときには米と米麹・水はだいたい同量だけ使います。例えば100kgの日本酒があるとします。
現在ではアルコール添加量は厳しく制限されていて、白米重量の10%以下と規定されています。単純計算で最大5kgのアルコール添加が可能ですが、実際にはこれほど添加されることがないのが実状です。そんなお酒を飲んでアルコール臭を感じることができる方はすごく繊細な感覚の持ち主で、それほどたくさんはいらっしゃいません。
普通酒・本醸造酒(特別本醸造)とは
清酒に含まれる普通酒(レギュラー酒)は白米総重量の50%以下のアルコール添加が認められています。数字上では二倍増醸酒が造れますが、実際に日本酒に30%の醸造アルコールを加えると、アルコール度数が上がってしまい、22度を超えてしまいます。22度を超えたものは清酒というカテゴリから外れるので、アルコール添加を50%をするということはまずあり得ないこと、日本酒全体の70パーセントが普通酒といことも覚えておいてください。
本醸造(特定名称酒)は原料米の精白率3割以上(=精米歩合70%以下)、醸造アルコールを添加した「本醸造酒」に分類される酒です。このお酒にアルコール添加をしていないものが特定名称酒の純米酒ということです。特定名称酒に関しては別の記事にて解説しております。
三増酒が生み出した今尚続く誤解
今でもなおアルコール添加=悪という間違った認識を生み出したのが三増酒の存在です。戦時中は物資が少なくお米も例外ではありませんでした。戦中は増醸酒が認められており日本酒と同等量の醸造アルコール、薄まって本来の味わいを失った分を補うための糖類や調味料を加えて味を整えた三増酒が誕生しました。
三増酒は戦後急速に普及し本来の目的とは外れていってしまいました。それは日本酒を3倍に薄めればその分だけ利益がでるということでそれが普通の状況になっていました。
その流れで居酒屋にはただ単に日本酒と書かれていただけのメニューのほとんどが三増酒でした。添加物だらけの今とは品質の違うものを呑んでいた方にとっては悪酔いした思い出しかなく、その時に飲んだ味わいが現在も続く「ベタベタ甘いお酒」と表現され敬遠されることになった原因の一つになっています。さらにその当時は現在ほど品質管理もしっかりと行われていなかったため、酒自体に雑菌が繁殖してたことも影響して悪酔いに繋がったことも否めません。
現在では法律が改正され、三増酒は存在していませんが、未だにブログに三増酒が今でもあるかのような記事の存在や前述のような経験をした方々にとって日本酒がよくない印象のままであり、三増酒を知らない方でも過去の日本酒のよくない部分だけが伝わっているのが現状です。現在の日本酒は法律で厳しくアルコール添加量が規制されており安全かつ楽しめる嗜好品に変化しています。
当店においてアルコール添加され有名ブランドや地元のお酒をお客様は料理と合わせて楽しみながら呑んでいらっしゃいます。こういった現状を見るとアルコール添加の日本酒も受け入れられているのは嬉しい限りです。
改めて言いますが、戦争時中は物資が少ないため三増酒という対策を取らざるを得なかったとうことです。
アルコール添加が実は一つの技術であることもご理解していただけたと思います。
長々となりましたが最後までご覧いただきありがとうございます。
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